ササクレポン

ただのメモ帳のようなもの

父は逝った。なにも変わらずに。

ちっぽけな見栄の積み重なりで作った借金に背を向け、家族を捨てて逃げて、見つかって、離婚をして、縁の切れた父が、あの時、母や親族やお世話になった方々に約束したのに、誰にも相談せずに、借金を隠し続けたまま、息を引き取った。痴呆を病んだ祖母を、1人残して。数年ぶりに見た父の顔は、あの時と変わらず、今は安らかな顔をしていて、隣で、父や私や弟の昔話を永遠と繰り返し誰かに話しかける、あんなに凛としていた祖母を横目に、ひどく、呆れた。少なくとも私は、あの時から憎んではいない。ただ、呆れているだけ。実の父ではあるが、遠い親戚のような、無関心に近いイメージ。けれど、死ぬ前に、奇麗な体になって、私たちの前で謝って欲しかった。少なくとも、母には。そこから、お互いに、やっと新しい道が開けると思ってたのに。それなのに、また隠してた。結局、最期まで、父は変わることができなかった。ひどく、呆れてしまった。親族の何人かは、涙を流してくれていたが、私たち姉弟と母は、呆れて涙も出なかった。「何を考えていたんだろうね?」と、煙になって消える父を見つめて、母はそう呟いた。

ちなみに、祖母は、私の顔を見て、「ウォルちゃんは、本当に(体が)大きいねえ(つまりデブ)」と、何度も言うので、そこは違う意味でボケて欲しかった・・・!! あと、上の弟と下の弟の名前を奇麗に逆転して呼ぶ祖母に、上の弟が「違うよ、おばあちゃん」と毎回訂正するので、マジでふき出しそうになってヤバかった!! オマエ!! お焼香終わってからにしろ!! もう会えないだろうけど、おばあちゃん、お元気で!!